5月のコラム「春の自然とともに広がる学びと育ち」 2026年04月30日
新年度が始まり、お子さまたちはそれぞれのペースで新しい環境に慣れ始めています。日々の保育を通して、年齢ごとに広がる学びや育ちを実感しています。0歳児クラスでは、春のやわらかな空気に包まれながら、保育者に抱かれ安心して眠ったり、保育室の前の広場で外気に触れながら穏やかな時間を過ごしたりする姿が見られます。1歳児クラスでは、バギーでの散策や、靴を履いて園庭を歩き、草花や砂の感触を楽しみながら安心した表情で遊ぶ様子が増えてきました。2歳児クラスになると、毎日階段を上り下りして2階のお部屋へ行くこと自体が楽しみの一つとなり、ごっこ遊びや音楽遊びを通して友達との関わりを広げています。また、窓から見える春のお山の変化に気づき、自然への興味も少しずつ深まっています。
3歳児クラスでは、「今日はキジがいるかな」と期待を膨らませながら公園へ出掛ける日々が続きました。なかなか姿を見せない中、ついに出会えた日の喜びはひとしおで、「本当にいたね」という言葉とともに、お子さまも保育者も心を動かされる体験となりました。このような実体験は、お子さまたちの探究心や感動する心を大きく育てています。
4・5歳児クラスは、満開の桜の下でのお花見ピクニックや、お山・沼地への散策を楽しみました。桜吹雪の中で食事を広げ、笑い合う時間は心を満たすひとときです。さらに沼地では、ぬかるみに足を踏み入れ、泥の感触を全身で味わいながら走ったり、つるにぶら下がって揺れたり、大木にまたがったりと、自然の中で自ら遊びを生み出しています。「ヤマアカガエルのおたまじゃくしがいないね」「ホトケドジョウがいるよ」といった言葉からは、生き物への関心や観察力の育ちが感じられます。こうした「名もない遊び」は、お子さまたちの創造力や主体性を引き出し、仲間と共感し合う力を育んでいます。
本園の大きな特色は、このような豊かな自然環境を日常的な保育の中に取り入れていることです。鳥のさえずりや風の音、土や草の匂い、小さな生き物との出会いは、お子さまたちの五感をやさしく刺激し、「生きている世界」を感じる体験へとつながっています。自然は思い通りにならないこともありますが、だからこそお子さまたちは自ら考え、工夫しながら関わろうとする姿が感じられます。そうした主体的な関わりが、これからの時代に大切にしたい「生きる力」の土台になっていくのだと実感しています。
私たちは「人を敬いすべてのものを愛しむ」という理念のもと、愛情あふれる環境を大切にしながら、お子さま一人一人の人格を尊重し、その子らしさを大切にした保育を行っています。「やってみたい」という内なる声に丁寧に耳を傾け、時間・空間・人との関係性を整えることで、お子さまが自ら育とうとする力を支えています。また、保育者自身が心身ともに健やかであることを大切にし、その姿を通して「自分も他者も大切にする心」を伝えています。
開園20周年という節目を迎えた本年度も、お子さま・保護者・地域と心をつなぎながら、自然の中での多様な体験を通して、お子さまたちの「今、この瞬間」を豊かに育んでいきます。そして、その積み重ねが未来へとつながる確かな力となるよう、これからも丁寧な保育を実践してまいります。
みなみ野敬愛保育園 園長