12月のコラム『なんだろう?』『みんなで作ろう!』『食べてみよう!』 ~食への興味は本物に触れることから始まる~ 2023年11月25日

 敬愛学園は、『0歳からの幸せ教育』として、まず『本物の食材に触れる』ことから始め
ます。食育は、『うれしい・たのしい・おいしい食事!』をテーマに知育・徳育・体育の土
台となる大切なものと捉え推進しています。
 野菜や果物、お魚など、そのままの状態を目で見て形や色を知る機会を設けます。「赤い
色」「緑がきれいね」「白と黄緑と黄色」「黒と緑のしましま」「黄色でぴかぴかしているね」
「黒い点々がある」「まわりに毛がはえている」など保育者やお友達と感じたことを伝え合
います。縦や横に切って断面を見て中身の状態も確かめます。「種がいっぱい入っているね」
「種の形が丸い」「種が大きくて硬い」「外は赤だったけれど、中は白だった」「おくらは切
るとお星さまの形みたい」「そらまめはふかふかなベットで寝ていて気持ちよさそう」お魚
の解体ショーをして「魚は骨がたくさんあるんだね」「食べられる魚は何種類くらいあるの
かな?」「うろこはどのお魚にもあるのかな?」など、年齢が上がってくると様々なことに
気が付きます。そして、手や顔など体全体で触れて感触や音を確かめ、「つるつるしてい
るね」「がさがさ」「ごつごつ」「ざらざら」「ふわふわ」「しっとり」「ぶにゅぶにゅ」

「硬い」「柔らかい」「冷たい」「温かい」「たたくとポンポン」「ごりごり」。鼻で香りを

嗅ぎ「甘い匂い」「すっぱそう」「はっぱの匂いがする」。調理されたお食事をいただき、

「いい匂い」「おいしそう」「焼くと色が変わったね」。食べて味や食感、喉越しを感じ、

「甘いね」「ちょっと苦い」「さくさくする」「こりこりって音がする」「ふわふわでやわら

かいね」など『五官』をたくさん使い『五感』を育みます。
 栄養士からは毎月、旬の食材について『どんな栄養があるのか』『心身への健康効果』な
どを、お子さまにもわかるようにお話をしています。
 苦手なものがあるお子さまや、小食のお子さまも、お友達や保育教諭と一緒に触れたり、
栄養士からのお話を聞いたり、クッキングをした後は特に、「おいしいね」「食べてみたい」
と意欲的に召し上がる姿が見られます。その様子をおうちの方にお伝えすると「うちでは全
く食べないのでびっくりです」と驚かれています。出来上がった食事しか見ていないと、何
が入っているのか不安や疑問に思われるお子さまも多いようです。本物の食材を『知る』と
ころから経験し、お友達や保育教諭と感じたことを対話を通して共有し、共通の体験をした
大好きな人達と『一緒に食べる喜び』を感じることで、食に対する興味関心が驚くほど高ま
ります。しかし、毎日の食生活ではなかなか進まないものもあります。しかし、敬愛学園の
職員は「お子さまが食べられる量だけでいい」「今日は食べられなくても、『見るだけ』でも
『食材を知る』だけでもいい」「苦手なものにチャレンジして一口でも食べられたら花丸」
「大人になったら食べられるかもしれない」「お腹がすいたら食べるから、たくさん運動し
ます」という気持ちで保育をしています。
 また、自分たちで野菜を栽培してみたいという意欲へとつながるように、絵本や図鑑、食
材を飾っておくなど『お野菜ラボコーナー』を用意しています。敬愛高倉保育園では全クラ
ス、興味を持った野菜を栽培しています。じゃが芋、さつま芋、大根、人参、ピーマン、か
ぶ、白菜、パプリカ、すいか、トマト、里芋、椎茸、エリンギ、なめこ、しめじなどお子さ
まが栽培、収穫、調理に関わり、食する経験を大切にすることで、大事に育てた野菜への興
味や愛情が深まり「大きくなったかな?」「食べてみたい」「どんな料理にして食べようか」
とわくわく夢も広がります。
 令和5年11月9日は、敬愛高倉保育園の創立50周年記念日でした。その日は『なべっ
こパーティー』と称して0歳児から5歳児クラスの全園児と職員で園庭に釜戸を設置し、大
きな釜2つにたくさんの食材を入れてちゃんこ鍋作りをしてお祝いしました。お子さまは、
野菜をちぎったり、皮をむいたり、お米を研いだりしました。4歳児クラスが以前から仕込
んだ手作り味噌を入れたり、炊きあがったお米を自分で握っておにぎり作りをしたりして、
みんなで作ったお食事をいただき、美味しさと喜び溢れる感動の50周年記念日となりま
した。
 お子さまの食への興味関心を高めることは、将来の食生活を豊かにし、健康で幸せに生き
る力を育む大切なことです。これからも『敬愛の心』を継承しながら、食への興味関心、感
謝の気持ちをもって食する心を育んでまいります。

 
                                敬愛高倉保育園 園長

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