10月のコラム「お友だちの喜びは自分の喜び」 2023年09月25日

 ある日5歳児コスモス組さんで「レストランごっこをしたい!」と声が上がりました。
 レストランごっこは何日にするのか誰を招待するのか、どんなメニューにするのかど
んな役割が必要か、白熱した話し合いが毎日続きました。レストランごっこのために家
族で本物のレストランに行き、お店の人がどのように働いていたか見てきたり、シェフ
は黒い手袋をしている、レストランには配膳ロボットがあるなど、自分で得た知識を皆
で共有していました。そしてレストランごっこで必要なものづくりに移りました。敬愛
たかお保育園では、お子さまが様々な体験、経験をし、感動し、「やってみたい!」「つ
くってみたい!」と思った時すぐに制作活動できるよう各お部屋に生活素材やハサミ、
のり、テープ類、クレヨン、などが設置されています。それらすべてを使い、やきそば、
おもち、ラーメン、おにぎり、カレー、おすし、アイス、飲み物を様々な材料を使い工
夫して作っていました。コンロやネコ型配膳ロボット、招待状も作り、他のクラスのお
友達、先生を招待しました。
 当日は、ウエートレス役は家から用意してきたお気に入りのエプロンを着ていそいそ
とテーブルセッティングをし、シェフ役は黒い軍手をはめ、コンロで熱々の料理をだす
ため、スタンバイしています。最初のお客様は0歳児クラスのお友達です。危なくない
よう椅子の位置に気をつけ、注文を聞くときは赤ちゃんの目線に合わせて、腰を低くし、
丁寧に接客をします。次々と訪れるお客さんに「いらっしゃいませー」「ご注文の時は
ここをおしてピンポン!と言って下さい」など元気に声を出していました。猫の形をし
た配膳ロボットを作成していたお子さまは、まるでロボットが自動で動いているように
体を低くし、くるくるとテーブルを回っていました。しかし大変なことが起こりました。
レストランを楽しみにしていたお客さんが一度に押し寄せ、レストランが回らなくなる
という事態が起こりました。あんなに考えた料理の数も足りなくなり、シェフだけでは
どうにもならなくなり、悪いことは重なるものでネコ型配膳ロボットも首のところから
だらんと垂れ下がってしまいました。しかしここからがコスモス組の素晴らしいところ
です。「いらっしゃいませを言う人」「席をご案内する人」など役割分担は事前に決まっ
ていましたが、目の前の状況を見て、役割をどんどん変えていきます。「アイスは売り
切れです。すみません」とお客さんに感じ良く伝えたり、メニューを聞く人がいなくな
ったら自分は係ではないけど代わって役割をはたしたり、もともとないメニューをその
場で作ったりしていました。ネコ型配膳ロボットは数人で首のところをもって動かすこ
とにしました。80人近いお客さんたちは大満足で帰っていきました。
 レストランやさんごっこが終わった後の感想では「おきゃくさんがきてきんちょうし
た」「いそがしくてつかれた」「たのしすぎてなきそうだった」「みんながきてくれてう
れしかった」と全員が達成感を味わい、お友だちが喜んでくれたことを嬉しそうに話し
ていました。
 小さいころから、たくさんの驚き、感動の体験をしているから「〇〇したい!」とい
う気持ちがあふれてきます。お話をいっぱい聞いていただいているので、自分のイメー
ジを素直に伝えたり、相手の話を良く聞くことができます。お互いの意見を肯定的にと
らえるので、物事を成功させるための行動がスムーズに共有されます。そして困ったこ
とが起きた時こそ自分ができることを見つけ友達を助け友達に助けられ最大限に人間
力を発揮します。
 コスモス組の姿に小さい時から結ばれた友情っていいなと思います。お子さまたちが
「お友だちの喜びは自分の喜び」この最高の心をもって世界に羽ばたいていかれること
を心より信じています。
                           敬愛たかお保育園  園長

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