6月のコラム「お子さまとのひと時を大切に!「お子さま理解」につなげる」 2022年05月25日

 あじさいの花が少しずつ色づき始め、梅雨の気配を感じる季節となりました。
 自然や季節の移ろいを身近に感じられるように、保育園ではこの時季ならではの豊かな
保育が展開されます。例えば、雨の日に手作りのレインコートを着て、長靴を履いて戸外
に出かけ、雨の音を感じたり、実際に触れて見たり、カタツムリなどの虫や植物との出会
いを大切にしています。お子さまが、自ら自然とかかわり、体験したことは、生きる力に
つながっていきます。
 お子さまは、保育園生活の中で、様々なことに興味関心をもちます。お子さまに寄り添
い、興味関心をさらに広げながら心豊かな楽しい経験となるよう、環境を整えたり、言葉
をかけたり、共感したりしています。そんなお子さまとのちょっとした時間をお伝えいた
します。
ある日の早朝保育、2歳児のSちゃんがお家の方と離れるのが嫌で泣いていたところ、
「Sちゃん、お外見る?」と声をかけました。すると「うん」と、涙を見せながらも駆け
寄ってきたので、抱っこをして窓の外を見に行きました。保育園で一番外がよく見える場
所は、5歳児クラスです。保育園がビルの3階にあるため、窓からは駅前のロータリーに
行きかういろいろな自動車や電車・バスなどが見えて、お子さまを楽しませる場所となっ
ています。Sちゃんは、窓から見えるものに興味津々です。泣いていたのも忘れて「でん
しゃきた!タクシーもいる」と、嬉しそうに笑顔で話していました。こうして、私とSち
ゃんの日課が始まりました。早朝保育の時間は、「えんちょうせんせい、まどみにいこう!」
と駆け寄ってきます。そして、窓の外をじっくりと観察しています。「でんしゃがあっちか
らこっちにいったよ」「ごみしゅうしゅうしゃがいる!ごみをあつめてきれいにしているん
だね」「パンやさんのくるまがきたよ。スーパーにパンをはこんでいるのかな?」など、会
話が弾みます。毎日言葉のやりとりをしていて、Sくんの語彙が日ごとに多くなっていく
ことを感じました。時には、窓の外を見ながら、お休みの日に出かけたお話や、好きな遊
びのこと、見たテレビの話など、1日数分ではありますが、私にとっても楽しい時間とな
っています。そんなSちゃんとの日課も2年が過ぎました。初めはSちゃん1人だったの
が、今では毎日7、8人となり、一緒に窓の外を眺めています。
 1歳児のDちゃんは、活発な男の子。朝、私が顔を出すと「あっち!」と、私の腕を引
っ張って窓の方へ行こうと催促します。Dちゃんのお気に入りは、交番の前に止まってい
るパトカー。日によっては止まっていない日もあるので、それを毎日確認しています。D
ちゃんは、保育室ではあまり言葉を発しないのですが、ここでは「ピーポーいた!」「でん
しゃきた!」「みて!バスいっちゃった」など、多くの言葉を発しています。
3歳児のEさんは、長いものや数に興味があります。「きょうは、タクシーが1.2.3.
4.5だいとまっているね。あっ!もう1だいきたから、6だいになったよ」「でんしゃが
きたよ。あれは8りょうだね。10りょうだともっとながいよ!」など、見つけたものの
数を数えたり、大きさを比べたり、長い短いなどを伝えています。
5歳児のMさんは、語彙力も高く、今は数の数え方に興味をもっています。「みて!とり
が2わとんできたよ」「しょうがっこうのおねえさんが、4にんいるね。いまからがっこう
にいくんだね!」「きのう〇〇くんが、ざりがに1ぴきもってきてくれたんだ」など、話し
ています。また、クレヨンは1本、2本。絵本は1冊2冊。と数え、お友だちが違う数え
方をすると、「これは、こうかぞえるんだよ」と教えています。少し消極的なMさんですが、
「Mちゃんすごい!」とみんなから褒められて、自己肯定感も高まり、自信をもって言葉
を発するようになり、今では小さなお友だちのよきお姉さんとして、いろいろとお世話を
しています。
 窓から外を眺めるという早朝の日課から、今は外の世界だけではない会話もたくさん弾
んでいます。ほんのひと時の時間ですが、お子さまとの会話は楽しく、成長を感じること
ができる大切な時間にもなっています。早朝保育時間以外にも、各クラスを回り、たくさ
んのお子さまとかかわっています。かかわる中で、今のお子さまの姿や成長発達の段階、
興味関心がどこに向けられているのか、心の成長は?など、様々なことを感じることがで
き、それが「お子さま理解」につながっています。お子さまが自分らしさを発揮し、周囲
の人や物とかかわりながら、心も体も健やかに成長できるよう、これからも傍で見守って
まいります。
                             敬愛きたの保育園 園長

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