9月のコラム「はっけん!はっけん!」~自分で気づくことの大切さ~ 2019年08月25日

いつも、お子さまの好奇心はとても素晴らしいと感心させられます。

時には、「今それをすると困るなぁ」「それは、やってはいけない」とか、「結局それは失敗するのに」と思うこともあります。様々な経験を重ねている大人にとっては、「知っている」ことですが、お子さまにとっては初めての経験だったり、初めてではないけれども違う方法でやってみたり、あらゆることを試したりして、この世界を知っていきます。大人はもどかしく感じたり、教えることが教育していくことと思ったりして、知らないうちに、せっかくお子さまが主体的に学ぼうとしている芽を摘んでしまっていることがあるのではないでしょうか?

 

 ある日の2歳児クラスの保育室で、段ボールを開いてクレヨンで描いて遊んでいました。段ボールに描いている時も生き生きと全身を使って力強く描いていました。しばらくするとAちゃんが木の素材のロッカーの扉に思い切り描き始めました。私も「わぁーそこに描くの!!」と驚きましたが、Aちゃんは気持ちがノッテきてクレヨンが自然に走り、鼻歌を歌いながら気持ちよさそう!他のお子さまも一緒に共鳴し合う様に、キャーキャー言いながら次々とロッカーに描き始めました!スルスルと描けることや色が線となって表れて行く様子の面白さや、心ものびのびと解放された爽快感を味わっているのだなとは思いましたが、さすがにこれは消せないところに描いてしまっては大変!私は、消せないものもあるからクレヨンは段ボールに描いてほしいことを伝えました。そして「色々な色がたくさんあって素敵だけど、担任の先生やお家の方が見たらびっくりするかもしれないね。これこのままにしておく?」とお子さまたちに聞きました。すると、我に返った様子で首を振って「このままにしない」と答えました。そしてティッシュを渡すと、お子さまは初めこれで何をするのかな?という表情をしていましたが、「クレヨンで描いたところを擦ってみて」と伝えました。お子さまが家具に描いたクレヨンを擦ってみると消えました。「おー!」と歓声をあげながら、次々にみんな擦り始め、消せることを知り、消えることの面白さを感じ、夢中になって擦り続け、すっかりお部屋はぴかぴかの元の状態に戻り、大喜びしていました。

 

 ある曇り時々雨の日。4歳児のRくんが空を見ながら「くもはどこへいくのかな?」と保育者と会話をしていました。

「くもは、はちおうじとか、とうきょうとか、きゅうしゅうとか、ほっかいどうとか、やまがたとか、ぐんまにいくんだよ。そこにいって、あめをふらせる。でも、わるくないんだ。わるくないくもなんだ。おひさまもかなしくてなくでしょ。(雨のこと)くももかなしくてないて、なみだがでるんだよ。いまのそらのくもは、かなしいきもちでおよいでいるんだ。しろいくもがいたら、かなしいきもちはなくなるんだよ。さらに、たいようがいたらよろこぶんだよ。」

なんて素晴らしい感性なんでしょう。お子さまの表現力の豊かさや純粋さに感動しました。Rくんは雲が雨を降らせていることは経験上知っていましたが、悲しくて雨を降らせているのだと思っているようです。大人はなかなかこの表現はできないので感心させられます。Rくんはその後、この空の様子を絵に描いていました。Rくんは空にとても興味を持っていて空の変化にもよく気が付きます。大人が色々教えるのではなく、自分自身で気づいたり、感じたりすることで、ますます興味も深まり、学びにつながっていきます。

 

 時には大人にとって都合の悪いことをしたがるお子さま、実験しながら自分で感じて、考えて、この世界を知っていくのだと思います。のびのびと試してみることのできる環境と、周りにいる大人の温かい言葉がけや見守りで、お子さまの伸びる力が変わるのだとつくづく感じます。


                             敬愛高倉保育園 園長 塚本千鶴
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