7月のコラム 「感性の響き合い~造形で広がるイメージの世界」 2016年06月25日

「わー!きれい!」色鮮やかに染められた大きな「寒天」のブロックが園庭に用意されお子さまたちがその色の美しさに魅かれ駆け寄っていきます。

先日、姉妹園の敬愛たかお保育園に「芸術の森たかお」というアートを楽しむ日に伺い、私も一緒にお子さまと感性を響き合わせ感動体験をしました。

 

◆たのしいね寒天あそび

保育園では様々な物を視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の五感を働かせながら触れることで感覚機能を高めたり、物を知ったり、感性を高める経験の機会を作っています。今回は「寒天あそび」。0歳児の小さなお子さまは口に入れて確かめることもありますので、万が一口に入ってしまっても大丈夫なように安全性に考慮して食紅で色付けしています。赤・青・黄色・オレンジ・紫・黄緑・緑・ピンク・水色・・・鮮やかな色の持つ魅力にお子さまも大喜びです。

手で大きな寒天を大事そうに抱きしめているお子さま、ボールのように地面に弾ませて転がる様子を楽しんだり、手や足で小さく崩したり、ゼリーやジュースなどの透明のプラスチックカップに入れたり、各々の楽しみ方が見られます。透明のプラスチックカップに入れた寒天を目を輝かせながらかき氷やケーキ、たこ焼き、チャーハンなどの食べ物に見立てて見せ合ったり、水を入れて浮かべたりして様々なイメージを共有し会話もはずみます。いつの間にかお店屋さんとお客さん役になりきっておままごと遊びにも発展していました。

 

◆身体性と造形性~体全体で感じよう!

シート状に薄く固めた寒天も用意し、粘土用の型抜きでクッキーのように型を抜いて遊びました。寒天を崩さないようにそっと持ち、大事にカップに入れています。寒天あそびを通し、そっと持つ感覚が養われます。お子さまの身体的発達の姿をとらえ遊びの中で育まれていくことも意図しながら、創造力や発想力、イメージを大きく膨らませ、遊びが展開し豊かな表現につながるように周りの大人が環境を整え、寄り添いながら発想に共感していくことが大切です。

小さく砕いた寒天を投げ始めました。体に当たっても痛くないので、雪合戦のようにお友達た保育者と追いかけっこをしながらぶつけ合い、体にあたってボヨーンと弾む感覚に大笑い!体全体で寒天の弾力を味わっていました。ビニールプールも用意しておくと、遊びに広がりが出てきました。その中に入って寒天を足で踏みつぶすとツルッと滑ったことが面白かったようで、それをきっかけにわざと足を滑らせて転がったり、そこに水を入れて温泉に見立てて遊んだりしていました。

数人のお子さまが壁やガラスに押してつぶすと付くことを発見!どのくらいの力加減でカラスにつくのか感覚で確かめています。2歳児のお子さまが小さなかわいい手でカラス窓につぶしながらつけていました。その様子を見ていた室内にいる1歳児のお子さまもガラス越しに手を当て、外からつけてはキラキラと光に透かして見える赤や黄色の寒天の色をお互いに感じ合う微笑ましい光景も見られました。

 

◆「やってみたい!」を大切に・・・

「感性が響き合う瞬間」にたくさん出会えた寒天あそび。最後は4歳児のお子さまがカップやトレーに細かくなった寒天を入れながら「これ凍らせてみたらどうなるかな?」とお子さまから素敵な発想が生まれました。「先生凍らせてみてもいい?」というお子さまの傍にいた保育士も透明のカップに寒天を入れ「先生はこれを凍らせてみよう!」とその発想を認め一緒に実験。「凍らせていいよ」というだけではなく、「もちろんいいよ」そして「いいね、どうなるかな?いっしょにやってみよう」など様々な意味が込められた保育士のその言葉がとても嬉しく、その後も凍らせた寒天あそびを思う存分楽しみ継続した遊びとなりました。

 

主体的にお子さまが遊びを展開するためには周りの大人が環境を整え、ふさわしい言葉をかけ、一緒に楽しむことでお子さまの感性も呼び起こされてきます。周りの大人の人的環境がいかに大切かが問われます。大人も常に感性を磨き、お子さまにとって最高の人的環境でありたいものです。

 

お子さまの現在と未来の幸せを願って・・・。

 

敬愛高倉保育園 

園長 塚本千鶴

 

    

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