保育のプロによる月刊コラム

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2015年7月25日

8月のコラム 「どろんこ、どろんこ!たのしいね!」

真夏の太陽の日差しが降り注ぐ園庭。3歳児ホープ組のお子さまが水道の蛇口をひねって、バケツに水を溜め、砂場まで一生懸命運んでいます。水を沢山入れて重そうに休み休み運んでいるお友だちに気づいたKくんが、何も言わずに手をかして一緒に砂場まで協力し合って運び、到着!一気に砂場に水を流し込みます。「わー!やったー!」と達成感に満ちあふれた二人の笑顔が輝いていました。
また、島を中心に周りに手で砂を掘り、川を作っているAくん。その横で全身を使って四つんばいになりながら力強くショベルカーになりきっているYくん。手足に渾身の力を込めてどんどん深く砂を掘っていきます。大きな大きな湖と川ができました。
そこへ保育士が、3メートルもの長さの竹を半分に割ったものを水路にして桜の木の枝に掛け、上からホースで水を流します!どどーっと流れ込む水に「きゃー!」「わぁー!」と思わず歓声をあげ大興奮しながら「ほんもののかわだね。」「すごいのができたね。」「おもしろいのができた。」とクラスの全員が竹の周りに集まって大喜びしていました。水が溜まってくると、足でバシャバシャと水しぶきをたててはしゃいでいる姿も見られます。
そのうちに5~6人のお子さまが川の周りに高い山を作り始めました。「山なのかしら?」と見ていると、お子さまたちは掘っていた自分たちの長いスコップを5~6本山に刺しています。「おいわいなの」「ハッピーバースデイなの」と言ってみんなで「ハッピーバースデートゥーユー♪ハッピーバースデートゥーユー♪」と歌っていました。山ではなくお祝いのケーキだったのです。私たちはとかく大人の固定概念で見てしまいがちですが、お子さまの表現したい物は全く違うものでした。私も「山を作っているの?」などと安易に声を掛けなくてよかったと安堵しました。お子さまは、「大きな川ができあがった嬉しさ」の表現=「ケーキ」をイメージし、パーティーをしていたのです。お子さま同士ではイメージを共有し合いながら、造形表現をしています。そこでの周りの人的環境である大人が、お子さまが何を感じて考えて表出しているのかを読み取りながら、言葉をかけ、認めることではじめてお子さまの「表現」となります。受取手の大人も感性を磨き、お子さまの素晴らしい発想力と感性を更に伸ばし、自己肯定感を高めていくことが大切です。「表現は心の呼吸」であり、息をするように自然に出来なければならないものといいます。お子さまが、ありのままの自分を表現し、自らやってみて、気づき、感性を高められるように、周りの大人が育ちを支える環境を整えていきたいですね。
 まだまだ、暑い夏が続きますが、お子さまが全身を使って夏ならではの遊びを存分に楽しむ中で、沢山のことを経験し、「感じて」「考えて」「心を揺さぶられ」のびのびと自己を表現できることを願っております。
「どろんこ どろんこ たのしいね!」

                                敬愛高倉保育園 園長 塚本千鶴

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