保育のプロによる月刊コラム

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2012年6月1日

6月のコラム 「もういっかい」 お子さまは、お友達と一緒に反復を楽しみながら多くのことを学んでいきます

1歳児クラスに入ってのこと。

お子さま方は、きょとんとしてまだ自分の遊びに没頭するまでにはいかない時でした。

周りには、大型のソフト積み木が置いてありこれから担任は工夫してあそびを組み立てていくつもりだったのでしょうか。ふと窓辺に目をやると、愛らしい花が揺れていました。思わずソフト積み木で ♪おーはながわらったー おーはながわらった・・・♪と体でリズムをとりながら歌いました。傍にいたお子さまの視点は一気に私の所に注がれました。1曲歌い終わると、まだ言葉として表現出来るまでに及んでいないNちゃんが小さな人差し指を立てて「もう1かい!」の合図。3回程歌い、今度は♪おーきなたいこ どーんどん♪と曲をかえて、強弱をつけてソフト積み木を叩きました。また1曲終る度に「もう1かい!」の合図、しまいに傍にいたお子さまたちは「もう1かい」の合図を覚え繰り返し10回程になったでしょうかアンコールに応えて歌い続けました。いつのまにか「もう1かい!」の合図はそれからクラスの合言葉ならぬ合サインのようになっています。

 

 その、すぐお隣の2歳児クラスでは、大好きな「はらぺこあおむし」の絵本をみんなで見ていました。保育士の歌に合わせて♪おひさまがのぼって~あたたかいにちようびのあさです ・・・げつようび りんごをひとつたべましたー!♪とエリック=カールさんの絵の魅力にひかれながら、曜日と共にたべもの数が増えていく、さなぎからちょうになるまでのページをめくる瞬間の緊張感とよろこび。「きれいなちょうになりました」とお話が終わり絵本のちょうが、見ていたお子さまのところにひらひらと舞っていく演出があると、「もう1かい!」とお子さまの中から誰ともなしにアンコール。それに応え保育士は「絵だけね!」と言いながら、お子さまは、お友達と一緒に記憶を蘇らせながら繰り返し楽しんでいました。

そして、お昼寝前のひと時、Sちゃんは、「はらぺこあおむし」の絵本を見て、一人で保育士と同じことをしていました。このようにお子さまは、何度も反復し、学んでいきます。

 保育園だからこそできるお子さまのペースに合わせた速度で、お子さまと呼吸を合わせるように生の声で何回も繰り返しながらお友達と楽しむ絵本や、紙芝居の魅力はこう言うところにあるのでしょう。

 

 まもなく梅雨の季節となります。長靴をはいて、傘の上に落ちる雨音を聞きながら、お散歩するのもお子さまにとっては愉快なことでしょう。

 今日もまた、お子さまの「もう1かい!」の声が何処からか聞こえてきそうです。

 

                     2012・6        塚本定代

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